顧客対応担当者の資質って何なのでしょうか。果たして私に適性はあるのでしょうか。アドバイザーの資格をとってこの仕事をするようになり、もう10数年が経ちますが、未だにこの仕事が自分に合っているのかどうか分かりません。何となくこの仕事をやって来て、キャリアをウリにしないと転職できなかった…。情けないけれど、そんな成り行きだったような気もします。 資質があるかどうか、それはよく分かりませんが、少なくとも私は人の話を聞くことが嫌いではありません。大学時代、フィールドワークで日本の各地を回った時、その事項について知っている人たちにインタビューすることがとても好きでした。それを纏め上げて論文にする時、とても苦労することになり、私は研究者に向いていないと悟ったのですけれど。 そして、お客様と話をしていて喜びを感じることができます。初め何も分からずに電話をしてきた人に説明をしてさしあげて、最終的に分かってもらえた時の嬉しさ。お宅のせいで泊まれなくなったと言ってきたお客様に、苦労して代わりの宿を見つけてさしあげた時「ありがとう」と言ってくださった時の嬉しさ。そんなちょっとした一言で満足感が得られてしまうのも、もしかしたら資質の1つかもしれません。 さらに言うならば、打たれ強さを持っています。お客様は感情的になっていますから、意図的ではないにしろ、罵倒されることがよくあります。そんな時でもグッと堪え、ご理解いただくべきことは主張します。それは打たれ強いと同時に、どんな時でも冷静さを失わないように自分を制することができなければいけないということでもあります。でも、自分を制することができるかどうかは、資質というより訓練によって身につけるものかもしれません。 また、会社に対して改善すべき点を主張できることも必要です。これは別の言い方をすると、自分の仕事に対して使命感を持っているかどうかということでもあります。でも、本当に意見を通すためには、人脈作りなどの社内政治力や、書類をまとめる分析力や論理的プレゼンテーション力など、別の資質が求められるのも事実です。 逆に私に足りないものはと言えば、お客様に対するサービス精神かもしれません。もう少し親身になってさしあげれば良かったと思うことがよくあります。こちらが一生懸命やっているのだから、もう少し意固地にならず理解してくれてもいいのにと思うこともあります。とくに忙しくて自分に余裕がない時には、素っ気無い対応になってしまうことがあり反省することしきりです。資質があまりない方なのだから、自分に余裕を持たせるような環境作りを積極的にやらなければならないのでしょうね。 そして論理的な説明が苦手でもあります。長い説明になりすぎて、「あるのか、ないのかそれだけ言って」なんて言われることもあります。経験則を活かさず、行き当たりばったりの対応をしているなと思うことも良くあります。こういうお客様にはこういう対応をすべきだということは、もう10年以上やっているのですから、そろそろ分かってもいい頃だと思うのですが、なかなか思うような対応ができません。それは私に論理的な思考力がないせいではないかと考えています。 これまでスーバーバイザーとして、トレーナーとして、偉そうなことを言ってきましたが、こうやって書いてみると、情けなくなるほど自分が何もできていないことがわかります。人に言えるような資格はないですよね。強いていえば、資質として持っていることは伸ばし、持っていないことは訓練で身につけるしかないということなのでしょう。訓練あるのみです。 皆さんはどうしてこの仕事をするようになったのでしょうか。たまたま人事異動でやることになってしまったから、なんていう方もいらっしゃるでしょう。顧客対応者に求められる資質って、一体どういうものなのでしょうか。カスタマー研でも検討する機会があるといいですね。皆さん、今度一緒に考えてみませんか。 |
column 003 対応担当者の資質とは? 釘宮 悦子 第11期消費生活アドバイザー |
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