私の職場は、様々な企業様から委託されている健康相談室です。お身体の心配だけでなく、医学的知識や人間関係での悩み、はては世間話的なことまでも承っています。悩んで、時には躊躇しながらも勇気を出してお電話をかけてきてくださる方が多い為、できるだけ穏やかに且つ優しげな声で応対するように心掛けながら、ご相談に入らせて頂きます。様々なご相談を受ける中で、私なりに感じた事をご紹介させていただきます。

『幸せの基本はまず健康から』とばかりに、今、巷はマイ健康ブームでTV、ラジオ、雑誌、単行本、インターネット等あらゆるメディアに健康に関する情報記事が溢れています。その力は絶大で、例えばスーパーの品揃えも某TV局の放映内容にあわせて数量を調節され、その売り上げも左右されるとか・・。また特定保健用食品、栄養機能食品、いわゆる健康食品などの種類(以後まとめて健康食品と呼ばせていただきます)、出しているメーカーの数も随分と増えてきました。それだけ愛用なさっている方がグンと増えているのでしょう。

それに関した最近のご相談の傾向は、
数ある健康食品の中でどれを選んだら良いか、
数種類の健康食品を組み合わせても良いか
健康食品や一般食品類と現在服用中の薬と組み合わせても良いか、
癌に対して効果はあるか、などなどというものです。

皆様ご自身のお身体に不安を抱いていらっしゃる方が多い一方、様々な知識もお持ちです。しかし人間の体内は複雑すぎて、健康食品はもちろんのこと、一般食品といえども量や組み合わせによって、また個人の体質、持病によっても、効用と副作用がどのように出るかは、未知の世界です。効用について、マイナスの組み合わせや薬との相互作用について、医学的に解っている範囲内ではお答えできるのですが、その他のご質問に対して満足回答ができないのが実情です。

その代わり、健康食品に興味を持った経緯、現在ご不安な点や将来の心配、その背景をお訊きすることでその方の持っていらっしゃる健康観や病気に対する知識、考え方を再認識していただき、食事についてのアドバイスも含め、お話をさせて頂いています。各人考え方は様々で、病気を早く治したい、将来病気にならないように、さらに健康になりたい、安心感を得たい、食事が摂れない、人に勧められたから、皆が愛用しているからなんとなく、理由は色々ですが、結局話を通して健康や将来に対しての不安な気持ちを聞いてもらいたかったという例が結構多くなっています。情報に翻弄され、手遅れになる恐怖が頭から離れない・・・。ストレス回避のための行為がストレスを生んでいるようです。

基本の食事を忘れ、健康食品に頼り過ぎている方や、健康を追い求める気持ちが強迫観念になって本末転倒になっていらっしゃる方も見受けられます。「健康でなければ幸せになれない」のではなく、『幸せの基本はこ・こ・ろの健康から』、と自戒も込めてご相談者と一緒に勉強させていただく毎日です。

【一口メモ】  特定保健用食品や栄養機能食品などの保健機能食品については、
日本健康栄養食品協会のホームページ http://www.jhnfa.orgを参照してください。                     


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相談の中から見えてくるもの〜
こころの健康のお手伝い
 川口 康子15期消費生活アドバイザー
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