私は百貨店に勤務していますが、お客様相談の担当は昨春からの新米です。

ご相談のお承りは、主に電話と店頭でのお申し出によりますが、その内容は、百貨店の品揃えと同じようにバラエティーに富んでいます。

私の初仕事は、「おたくで買った会席弁当が、家に帰ってみると中身がグチャグチャになっていて、お客様に出せないけどどうしてくれるの!」という女性からの苦情の電話でした。電話をとった瞬間に一方的にまくしたてられ、結局は売場から新しいお弁当をお届けしました。しかし、後から落ち着いて考えてみると、弁当を自転車のかごに入れて持ち帰ったとのことだったので、その時の振動が原因で中身が崩れたとしか思えませんでした。もしそうだったとすると、それって、お客様自身の落ち度では…。「おたくデパートでしょ!」と強く言われてしまうと、本当に立場が弱いですね。客商売のつらいところです。

それ以来、お客様からの様々なご相談をお受けしてきました。売場でこじれてしまった問題を持ち込まれることも多く、苦労が絶えないというのがホンネです。お客様からは「どうしてくれるんだヨォー」と突き上げられ、上司からは「とにかく上手くやってくれよ」と言われて、“闘争も逃走”もできません。ただひたすらかしこまって対応しなければならないことで、どうしてもストレスが溜まりがちになります。そのために、ストレス・マネジメントやメンタルヘルスケアは、私たち相談員にとって重要な問題であると言えます。

私は、ストレス解消のために、ハイキングや温泉めぐりを楽しんでいます。しかし、それ以上に有効なのが、消費者対応研究会(以下カスタマー研)の存在です。私が異動の内示を受けた当初は、いわば暗中模索状態で、とにかく経験・勘・根性の3Kでやるしかないと思っていました。そんな時に、たまたま『いーすと』で自主研究会の案内を目にしたのが、カスタマー研との出会いでした。

『対等な立場で、お互いの脳ミソを混ぜ合わせる。(ある本質的な部分を共有している)他者とのかかわりによって、自分のアイデンティティが形成されていく。あこがれにあこがれる、なにかに上達する、あるいは自分の技を磨く』(以上「ストレス知らずの対話術」齋藤孝著より)。私にとってカスタマー研はそんな存在です。年齢や業種・業態の異なるメンバーと会話することで、何か癒されつつ、刺激を受けている自分を、会合に参加するたびに感じています。

自らの知識やスキルを高めながら、メンバー同士がお互いに学びあうことで、さらに成長しあえたら素晴らしいですね。明日はどんな人や相談にめぐり会えるのかを楽しみに、適度に緊張とストレスを感じながら、今後も仕事に取り組んでいきたいと思います。私にとってカスタマー研は『相談員の相談室』です。

column 010
相談員の相談室
〜私にとってのカスタマー研〜
 毛利 憲昭 16期消費生活アドバイザー
Home ColumnTop