私は現在メーカーのお客様センターに勤務しています。20004月に消費生活アドバイザーの資格をとり、その10月から今の仕事をしています。

「消費生活アドバイザー」というと企業と消費者のパイプ役で、「お客様対応業務」というイメージが強いですが、営業や商品開発などこそ、お客様の視点や権利、そういった知識が必要ではないだろうかと考え、当時はあまりお客様とは関連のない部署にいたのですが、自己啓発の一環として通信教育を受けました。

せっかく勉強が終了したのだから、と受験したところ信じられないことに合格してしまい、上司に異動の希望を出すか?と聞かれましたが「お客様相談室は性格的に向いていないのでいやです。」と答えました。その後会社の状況も大きくかわり、新しく本社にお客様センターを立ち上げるということで異動になりました。(面倒見がいいとか困っている人をほっておけないというような性格ではまったくないため、本人もまわりももちろん、「だ、大丈夫かぁ?」という反応でしたが。)

それから今に至るまで、怒涛のような4年半でした。大きな事件も経験しましたし、商品回収になった案件の初電を取ったこともありました。しかしまだまだ過去を振り返ってなつかしむような状況でははく、奥が深い!と己の未熟さを痛感する毎日です。

 お客様の対応をするにあたって、よく、「お客様の立場にたって」と言われますし、本にも書いてあります。けれどお客様の要求は本当に人それぞれで見極めが難しい。あるお客様のして欲しいことと、また別のお客様のして欲しいこと、そして私ならこうして欲しいということが違う。私の常識と世間の常識と、お客様の常識と(ついでに会社の常識と)が、こんなに違うとは思ってもみませんでした。毎日が目からうろこの連続です。

もちろんなるべく「お客様の立場にたって」心情を理解しようとは思っています。最初の頃に比べて許容範囲もかなり広くなったと思います。でもどうしても共感できない場合もある。そんな時、私は女優(?)になります。自分や他の人の過去のいろいろな応対事例を自分の中にある「引き出し」からひっぱりだし、この人ならこう言うだろう、と想像しながらその人になりきって話しをします。そんな気持ちのこもっていない対応なんて!と思われるかも知れませんが、いかんせん人間ができていないものでしょうがない。でも不思議なもので、話しをしているうちにだんだんとその気になってきます。 

業務上、電話の一次受けよりもモニタリングの方が多いため、自然といろいろな応対を聞くことになります。それはとても勉強になりますし、私の中の引き出しを増やすことにもなります。

以前入電がかなり多かった時期、あるコミュニケーターが一日100本の電話をとったと聞いて、「大変だったね」と声をかけたところ、「今日は100人の人と新しい出会いがありました」との返事。こんなポジティブな考え方は私にはできない!と思いつつ、早速引き出しの中にしまわせていただきました。いつか使って見たいと思った印象深い言葉のひとつです。

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 私のお仕事
 星 真理子20期消費生活アドバイザー
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