高齢者を狙った悪徳商法がこれまでにも色々ありましたが、最近では「短歌を新聞に 掲載勧誘」という新手の被害まで発生している様です。
これらの商法は、一部の悪徳業者によるものと思っていましたが、「7千万売りつけた 百貨店」までもが報道されて、その広がりにショックを受けました。
また、自分自身の職場環境の変化や加齢等もあり、"高齢者社会"について考えること が多くなってきた今日この頃です。

私は、昨夏に長年勤務した百貨店を早期退職し、秋から病院に勤務しています。
同じ"イリョウ"でも「アパレル」から「メディカル」に変わったことで、用語も「お客様」 から「患者様」、「接客」から「接遇」になり、学ぶことが多い毎日です。
しかしながら、いずれも主要顧客は高齢者であり、認知症と思われる方との応対、独 り暮らしの孤独感や「無縁死」などは身近に感じる問題です。
そして、働く分野は違っても顧客対応の基本は同じです。

看護記録の基本は"SOAP"と言いますが、それはSubjective data(主観的データ)・ Objective data(客観的データ)・Assessment(評価)・Plan(計画)を意味しています。
つまり、患者さんが提供する主観的な情報、及び医師や看護師等が明らかにした客観 的な情報を分析・評価して、患者さんの状態を改善していく方法を計画するというも のです。これってお客様対応の手順と同じですよね。

今後は、いわゆる「団塊の世代」がどっと65歳以上の高齢者層を膨らませていきます。 高齢者になると、身体機能や知的機能の衰えは不可避です。
また、昨今では家族に対する考え方も変化しており、QOL(生活の質)を確保しながら、 自分自身のライフスタイルを如何にして確立するかが大きな課題です。
その解決のためには、介護保険や成年後見などの仕組みも利用しながら、自分自身が 「老い」に向き合っていくことが大事だと思います。
自分に限って「認知症にはならない」と自信をもって言える人はいません。しかしながら、 体力の維持や食生活の改善、社会参加による閉じこもり回避など、自らが努力して上手 く老化と付き合っていくことは可能であると考えます。
そして、高齢期を楽しく過ごすために、私は以下の事柄を心がけたいと思います。

つまり、
 ○相談できる人を見つけておく
 ○ストレスを溜めこまない技術を習得する
 ○緩急をつけた生活の仕方を身につける
 ○大事なことと手を抜いてもよいことを分ける
 ○他人のことより自分を大事にする
 ○孤独を避ける  ○過去へのこだわりを捨て前向きな姿勢を心がける
<出所:「のばそう健康寿命」長寿科学振興財団編>
ということです。

 WHO(世界保健機構)の定義によると、老人とは65歳以上であり、「何事に対しても 前向きな姿勢で取り組むような精神、肉体、そして社会的適応状態を健康という」そうです。
これからも気持ちだけは若く、PPC(ピンピンコロリ)を目指したいものです。



column 046
高齢者社会に思うこと
毛利 憲昭
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